中国ワイナリー訪問|賀蘭山の麓に“翡翠”を名乗るワイナリーがあった ― 寧夏・長和翡翠ワイナリー(フェイツゥイFei Tswei)
玉石に魅せられた香港資本の中国ワイナリー
「長和翡翠ワイナリー」名前からして謎めいていますが、実際に門をくぐるとその謎はさらに深まりました。ロビーに置かれた石、ワインラベルに描かれた石、長い廊下に並んだ木樽と展示物、ロビーに佇むパンダのオブジェ…。ここはワイナリーというより、一つの「物語館」のようです。今回は寧夏イスラム族自治区の賀蘭山東麓産地にある中国ワイナリーを長和翡翠ワイナリーを訪問しました。


Fei Tswei-フェイツゥイワイナリーは2013年に寧夏の賀蘭山東麓で香港資本により設立されました。ワイナリーの建物は過去にフランスの雑誌で中国最優秀ワイナリーデザイン賞を獲得したことがあります。

「翡翠」と「石」のワイナリー
長和翡翠の名前は、中国の玉石文化で最高級とされる「翡翠」に由来します。オーナーは石の熱狂的なコレクターで収集した「奇石」から受けた想像力をそのまま商品名とラベルデザインに投影しています。例えば入門シリーズの「熔岩(ラヴァ)」は、説明するまでもなく石が形成される前の姿から名付けられました。
ロゴも逸話が深い。オーナーがオークションで落札した、子々孫々の伝家の宝としてきた双龍の玉佩(ぎょくはい)をアレンジしたものです。そしてオーナーの思いは一貫して、「自分たちの東方の言葉で、自分たちが考えるワイン文化を世界に伝える」ということでした。

ブドウ畑:17の区画で行われるテロワールの実験
畑の面積は約82ヘクタールの中規模ワイナリーです。特徴的なのは、土地の高低差に応じて畑を17の区画に分け、区画ごとに比較・実験を行っていることです。量産可能な品種は12種類(カベルネソーヴィニヨン、メルロー、シラー、マルスラン、プティヴェルド、カベルネフランなどで、さらに20種類以上の実験品種を数年かけて試しています。
そしてここは寒土地帯ならではの労力が必要です。冬にはすべてのブドウの樹を土に埋めて越冬させます。この作業は機械化できず、完全に人手です。収穫期(9〜10月)には近隣農村から100人以上を雇い、すべて手摘みでブドウを収穫します。

醸造・貯蔵:地下10メートルのワインセラー
38度を超える外気の中、セラーに足を踏み入れると涼風が吹いていました。場所は地下10メートル。空調なしで貯蔵環境が保たれています。
オーク樽はすべてフランス製で225L。新樽は全体の30%、残り70%は古樽です。背景には市場の変化があります ― 「重いオークの風味より、ワインそのものの味わいを飲みたい」という中国だけでなく世界的な消費者のトレンドに従っています。一方で、20年、30年の熟成も想定したトップキュヴェには新樽を使うという、明確な使い分けをしていました。
熟成期間はシリーズによって設計が分かれます。古樽仕立ての「窖藏(セラー・レザーブ)」は樽で1年、新樽仕立ての上級キュヴェは樽1年+瓶内1年の合計約2年です。

テイスティングワイン
寧夏賀蘭山東麓の高い酸度と果実味がバランスした以下のワインをテイスティングさせていただきました。
- 溶岩(LAVA)シャルドネ 2024
- 溶岩(LAVA)赤ブレンド NV
- マルスラン レゼルヴァ 2021

おわりに
香港資本を感じさせる非常に洗練された施設、内装や展示(プレゼンテーション)でした。石を全体の主要テーマに置いているのは中国ならではと感じました。
訪問日時:2026年7月
実際に味わったワインのより詳細な印象や日本市場での可能性などは個別にご相談ください。
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Edited by 新井達也
JSA公認ワインエキスパート
Vin Euphony代表


