中国ワイナリー訪問|海まで直線3キロ「竜が眠る庭」で醸される中国ワイン――山東・龍亭ワイナリー(ロンティン Longting)
海風が届く丘の上に建つ「竜の庭」
山東省煙台市蓬莱区。海からの直線距離約3キロの緩やかな斜面に建つのが中国ワイナリーの龍亭酒庄(ロンティンワイナリー)です。案内してくれた鄭安宇さんは「葡萄の栽培もワインのスタイルも、海の影響を強く受けています」と語りました。龍亭ワイナリーのブランドワイン「海風来(ハイフォンライ)」はその象徴です。

龍亭とは「竜が栖む庭」の意。建物はフランス南仏風の開放的な設計に、水墨画や葡萄の葉をかたどったシャンデリアなど中国伝統文化が調和しています。毎年アーティストとの共同展示で「ワイナリー美術館」としても機能しています。

灌漑なし・除草なし――バイオダイナミックを指針に
龍亭の核はバイオダイナミックを「指針」とする栽培思想です(認証は取得していません)。実施内容は明快で、葡萄園への灌漑は一切なし、除草もなし、化学肥料・農薬を極力避け、有機肥料やバイオダイナミック製剤を使用します。
敷地は約68ヘクタール。半分の34ヘクタールが葡萄園、残り半分はあえて開発しない原生林です。主要品種はシャルドネ、プティ・マンサン、カベルネ・フラン、マルスラン。驚いたことにカベルネ・ソーヴィニヨンは作っておらず、「煙台で作らないのは我々だけ」とのこと。その判断理由まで話してくださり、栽培哲学の一貫性が伝わってきました。

山の斜面と天然15℃が支える醸造
2009年創業、10年の歳月を経て2019年にオープン。特筆すべきは、建設の段階から醸造家が参画し、山の斜面の勾配を利用した重力式(グラビティー)の生産動線です。収穫は100%手摘み、発酵は低温・長時間。年間生産は小中規模のブティックワイナリーです。

貯蔵庫は山体を掘って造られ、**年中自然のまま約15℃**を維持。エアコンは一度も稼働していません。樽はすべてフランス産で、全体の約半分は樽を使わないフレッシュな仕込みです。

テイスティング:海の塩味と、柔らかい酸
この日は複数のワインをテイスティングしました。共通するのは「軽く、柔らかく、酸が心地よく、清潔感」です。
- カベルネフラン ロゼ 2023
- 海風来 シャルドネ 2020:
- 海風来プティマンサン 2022:
- プティマンサン オレンジ(自然派)2023:
- カベルネフラン レゼルバ 2020
- 東方美人(2023) VT 甘口 2023:

心から宿泊してみたいと思ったワイナリー併設ホテル
龍亭には19室の小さなホテルとレストランが併設されており、一部の客室は目の前に葡萄畑と海が広がります。280度の海景レストランや芝生での結婚式も行う、ワインツーリズムの完成度が高いワイナリーです。

おわりに
海風とミネラル、無灌漑・無除草の畑、グラビティー醸造、天然15℃の貯蔵庫、ホテル――龍亭酒庄は、独自の風土と哲学を持つワイナリーでした。
訪問日:2026年9月
実際に味わったワインのより詳細な印象や日本市場での可能性などは個別にご相談ください。
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Edited by 新井達也
JSA公認ワインエキスパート
Vin Euphony 代表



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