中国ワイナリー訪問|「仙境」の名を冠するワイナリー――蓬莱・丘山谷の仙島ワイナリー(Mystic Winery)
名前の由来は「蓬莱の仙境」
今回訪問した中国ワイナリー仙島酒庄(以下Mystic Winery)は山東省煙台市蓬莱の丘山谷と呼ばれる産地の一角にあります。案内してくれたワイナリー運営責任者のJerry Yuanさんによると、12世紀にこの地で道教の高僧・丘処機が修行したことから「丘山谷」の名が付きました。蓬莱は仙境(仙人の住む土地)と言われており、オーナーが仙島ワイナリーと名付けたと言います。葡萄畑はまさに仙境のたたずまいでした。

土地と共生する「持続可能な栽培」
葡萄畑の面積は約16ヘクタール。行間は2メートル、株間は1メートル、樹高は1.9メートルと密度は低いです。光をたっぷりと葡萄に届けます。
草生栽培を実践し、雑草の根と葡萄の根の良性競争を促します。草は土に還元され、有機質含量が開園時の0.6%から1.5%へ向上しました。
花崗岩質の土壌:地下1メートル以下は花崗岩土壌です。根は石の隙間へ広がり、白も赤も明確なミネラル感の源泉になります。
カササギ(喜鹊)との共生:この地はカササギが多く成熟したブドウを食べに来ます。しかし害鳥扱いするのではなくワイナリーの発展を見届ける友人として共に共生しているというお話です。ネットを貼って防ぐなど工夫をしています。ワイン(ワイナリー)を象徴するデザインにも使われています。

重力と小型タンクの仕込みがつくる繊細さ
山の斜面を活かし、3階で収穫、2階で発酵、一階で瓶詰めとグラビティーを導入しています。葡萄ジュースは自重力で下方に移動し、機械的な介入を最小限に抑えます。畑の小区画は191あり、品種、区画ごとに0.5〜6トンの小さめタンクで発酵槽を使い分けます。葡萄園由来の自然酵母も品種により使います。生産量は小中規模で「品質を維持するためなら出さない」という意思を貫きます。

十年かけて開花した品質
香港出身のワイナリーオーナー龔国権氏が2008年に構想を開始。11〜12年かけて植栽し、2018年に初めてのワインを仕上げました。オーナー夫妻はワイン未経験から専門顧問チームを結成するところから開始、ディカンターやBETTANE +DESSEAUVEなど世界的なワインコンクールで受賞を収めるまで発展しました。

テイスティングワインハイライト
逸湖(Yihuイーフー)がMystic Wineryのフラッグシップブランドです。7種類のワインをテイスティングさせていただきました。酸がしっかりあるが高すぎない、果実味はゆっくり熟成してすることでエレガントなスタイルです。
- 逸湖ロゼ(カベルネフラン・メルロー)2022
- 逸湖カベルネフラン (Blanc de Noirs) 2024
- 逸湖 Dry White (シャルドネ) 2021
- 逸湖 シャルドネ レゼルバ 2023
- 楽鳴 Harmony Red (カベルネフラン・メルロー)2019
- 逸湖 Dry Red (メルロー)2021
- 逸湖 プティヴェルド レゼルバ 2023

おわりに
ワインエチケットデザインでも使われているカササギ(喜鵲)と共生する葡萄畑、ゼロから始めて世界ワインコンクールで高評価を得たワイン、生き生きと働いているスタッフの笑顔。年間を通じて多彩な花々が咲き、山と海が織りなす景観とともに、Mystic Wineryは「人と自然が調和する」ワインづくりの最前線を体現していました。
訪問日:2026年9月
実際に味わったワインのより詳細な印象や日本市場での可能性などは個別にご相談ください。
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Edited by 新井達也
JSA公認ワインエキスパート
Vin Euphony 代表



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